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婚活心理学

理想が崩れたとき、愛は本物になる ──お見合い婚が照らす、「幻想から現実」へのプロセス 婚活心理学Vol.15

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婚活のはじまりは、いつも違和感から


婚活をしていると、ふとした瞬間に思うことがある。
「もっと理想に近い人がいるんじゃないか」
「この人、悪くはないけど、何かが足りない気がする」


プロフィール写真は悪くない。話してみても、失礼な人ではない。
それでも、心のどこかに引っかかる“わずかな違和感”が、次の婚活相手を探す背中を押してしまう。


気づけば、婚活疲れの道へまっしぐら。

何人目かも数えられなくなっていて、でも“理想の結婚相手”には一向にたどり着かない。


もしかして、私の「結婚相手の選び方」間違っている?
不安は深まっていく。

「自分がわがままなのか?」
「目が肥えすぎてしまったのか?」
「もう、誰ともちゃんと関係が育めない心理になってしまったんじゃないか?」

そう感じてしまうのは、あなたが弱いからじゃない。
むしろ、ごく自然な反応だ。

なぜなら、私たちは皆、気づかないうちに「理想の結婚相手像」という名の幻想を心の奥に抱えているからだ。
婚活疲れを感じるのは、理想と現実のあいだで葛藤し続けている証でもある。
自分の「結婚相手の選び方」が本当に自分に合っているのか、迷いが生まれたときこそ、見直すチャンスなのだ。



内容:

  • Ⅰ お見合い婚で「理想の結婚相手」に出会いたい──その出発点の奥にあるもの
  • Ⅱ 理想の結婚相手像は、あなたの“編集された過去”にすぎない
  • Ⅲ 幻想から現実へ──「お見合い婚」というフォーマットの強み
  • Ⅳ 結婚相手の選び方──幻想ではなく、関係を築く覚悟を
  • Ⅴ 最後に──「理想の結婚相手」願望が崩れたあとに、ほんとうの愛が始まる
  • Ⅵ ✅あなたの「理想の結婚相手」執着度チェックリスト
  • Ⅶ 💬 婚活Q&A──深い関係を築く“覚悟”ってどう育つの?



Ⅰ お見合い婚で「理想の結婚相手」に出会いたい──その出発点の奥にあるもの


お見合い婚活という営みの中で、出会いの先にあるものは、恋ではなく結婚だ。

日常と生活、未来と責任、習慣と老い、沈黙と協力、そんな現実の時間をふたりで生きていくということ。
けれど、その入り口はとても曖昧だ。


婚活プロフィールは整っている。年齢も近い。生活スタイルもそこそこ合いそう。
でも、なぜか心が動かない。


「もっと話がはずむ婚活相手がいい」
「もっと安心させてくれる婚活相手がいい」
「もっとときめきがあってほしい」


“もっと、もっと”の先にあるのは、すでに完成された誰か──
そう、理想の結婚相手という名の「編集された幻影」だ。


けれど私たちはなぜ、その幻影にしがみついてしまうのか?

それは、理想の結婚相手の中に“自分が愛されたい形”を預けているからだ。


理想の結婚相手に出会えば、自分が愛されるにふさわしいと確信できる。
理想の結婚相手に選ばれれば、自分の人生が保証されるような気がする。

理想の結婚相手と出会えないかぎり、自分の価値はまだ証明されていない。

──そんな心理が、無意識のうちに根を張っている。


つまり、“理想の結婚相手”という幻想を抱き続けることは、自分自身の不安や自信のなさを補うための、心のセーフティネットでもあるのだ。

アドラー心理学で言えば、それは「劣等コンプレックスの補償」というメカニズムに近い。


自分の欠けている部分を理想の結婚相手で埋め合わせることで、“本来の自分”と向き合わずに済ませてしまおうとする無意識の戦略だ。

だからこそ、その理想の結婚相手幻想を手放すことは、怖い。


でも、愛というのは本来、理想を誰かに満たしてもらうことではなく、「不安を抱えたまま(実存)誰かと一緒にいること」から育っていくものなのだ。



Ⅱ 「理想の結婚相手」像は、あなたの“編集された過去”にすぎない


お見合い婚の婚活中に思い描く「理想の結婚相手」像──それはゼロから生まれたものではない。
子供の頃の夢想、過去の恋愛体験、家族からの期待、映画やドラマ、SNSで見る“幸せそうな婚活カップル”のイメージがコラージュされて作られている。


問題は、それが現実の誰とも一致しないということだ。

現実の婚活相手は、矛盾と不器用さと未完成を抱えている。


完璧に見える人ほど、実は「他人を完璧に保たせたがる人(コントローラー)」だったりする。

誰かにとっての理想は、別の誰かにとってのストレスだったりもする。

──これは真実だ。


それなのに私たちは、「理想とズレているから、この人は探してる結婚相手じゃない」と判断してしまう。
そのとき、目の前にいる“誰か”の固有性は、たちまち見えなくなる。


そしてもうひとつ、大きな矛盾がある。

完璧な理想の結婚相手が仮に現れたとして、その人が自分を選んでくれる保証は、どこにもないということ!


それなのに、私たちは相手に対してだけ「理想の人であってほしい」と願い、押し付け、自分の側は“選ばれる存在”であることを当然のように想定してしまう。

この子供っぽい心理の裏には、理想の結婚相手にふさわしい自分であるという、甘い“暗黙の自己評価”(ナルシシズム)が潜んでいる。


理想の結婚相手に出会えれば、自分の価値が証明される気がして、理想から外れた婚活相手は、その証明を脅かす存在のように感じられてしまう。

だからこそ、「この人じゃない」と斬り捨てることで、自己価値や自己像を守ろうとするのだ。


アドラーは「承認欲求に振り回されるな」と警告している。


他人から認められることで自分を肯定しようとすると、相手の価値によってしか自分を見られなくなってしまう。
お見合い婚活における理想の結婚相手に縋(すが)る心理もまた、その罠に似ているのかもしれない。





Ⅲ 幻想から現実へ──「お見合い婚」というフォーマットの強み


お見合い婚という出会いの形式は、最初から“条件”と“現実”が提示される。


アドラー心理学における「課題の分離」の観点から見れば、お見合い婚は誠実な婚活方法でもある。相手の内面や未来を操作しようとせず、現実の情報を開示し合い、それぞれの自由意志と選択で、婚姻関係を築くかどうかを決めていくのだから。


また、アドラーが重視した「現実的共同体」の視点で考えれば、恋愛における“個人の感情の高まり”よりも、結婚を目的とした交際という“社会的な協力関係”のはじまりとしてのお見合い婚には、人間関係の本質が色濃く現れている。


結婚相談所のお見合い婚活では、プロフィールや条件につい偏りがちとは言え、その先にある“日常を共にする相手”を選び取る仕組みだ。

ときめきよりも信頼。運命よりも実際の会話。非現実的な理想よりも、相性の一致。お見合い婚という出会い方は、現実と他者を尊重するアドラー的な人間関係の成熟を促す入り口でもある。


職業、年齢、価値観、家族構成、結婚後への温度感──これらが早い段階で共有されるからこそ、アプリ婚活の擬似恋愛的な高揚感や、“運命のドラマ”は起こりにくい。

だが、それこそがこのお見合い婚という婚活形式の強みだ。


アドラーの「課題の分離」という考え方を思い出してほしい。相手にどう見られるか、どう思われるかではなく、自分がどんな関係を築こうと意図するかが“自分の課題”であり、その責任に集中する姿勢が成熟なのだ。

婚活において、お見合い婚は、まさにそれが問われる舞台である。




Ⅳ 結婚相手の選び方──幻想ではなく、関係を築く覚悟を


そろそろ、“理想の結婚相手を見つける”という発想から離れてみてもいいのかもしれない。


お見合い婚活において理想を追いかけ続けることは、自分を守る防衛本能でもある。理想の結婚相手という完璧な人を求めることで、自分の不完全さや傷つくことへの恐れを避けようとする。

その幻想は、一時的に安心感を与えるが、現実の関係構築からは遠ざかってしまう。


けれど、婚活で本当に求められるのは、違いやズレとどう向き合い、どう共に歩いていけるかという“関係構築の筋力(スキル)”だ。


アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と語る。お見合い婚活で感じる不安や葛藤の多くも、他者との関係における自分の姿勢や期待に起因する。そして、彼はこうも言う──「他者の課題には介入しないこと」。

お見合い婚活では、相手の価値観や反応を気にしがちだが、本当に大切なのは「自分がどのような関係を築いていきたいのか」に向き合うこと。


そしてアドラーは、結婚とは「主語が“私”から“私たち(ふたり)”に変わること」と定義した。

婚活が成功するとは、理想の人を見つけることではない。“私”を満たしてくれる存在ではなく、“私たち”として関係を紡げる相手と出会い、その関係に責任を持つことなのだ。


お見合い婚活を通じて成長する人とは、愛されることよりも、愛する力を育てられる人のこと。

婚活で出会う一人ひとりを、“関係の可能性”として見つめられるかどうか。


目の前の相手と、理想を超えてどう関係を築いていけるかを試すこと。
欠点を受け入れ、不安を共有しながら歩んでいけるかどうかを、静かに見極めること。


ここで一度、「結婚相手の選び方」そのものを問い直してみてほしい。
相手の条件や理想像ではなく、「この人と日常を営んでいけるか」「対話と沈黙の両方を共有できるか」という観点から選ぶことが、真に成熟した選び方なのだ。

それができたとき、お見合い婚活は単なる出会いの手段ではなく、自分自身の成熟の道となる。


理想の結婚相手という名の幻想を脱いだあとに残るのは、不完全でちぐはぐな日常かもしれない。

だが、そこにはふたりで笑える瞬間があり、ともに沈黙を味わえる温度がある。

お見合い婚活の旅の終わりに、「この人と一緒に、人生を築いていこう」と思える誰かが隣にいる──それこそが、“関係を築く覚悟”が連れてくる愛のかたちなのだ。





Ⅴ 最後に──「理想の結婚相手」願望が崩れたあとに、ほんとうの愛が残る



「理想が崩れたとき、愛は本物になる。」


この言葉が、いつかあなたの中で“実感”に変わる日がくる。

それは、あきらめの瞬間ではない。

むしろ、あなたが“幻想”を脱ぎ捨てて、現実に立ち戻り、目の前の誰かと「愛を育てていく覚悟」を持った証だ。
それこそが、大人になるということ。恋の続きにある、愛という選択である。


お見合い婚のゴールは、「理想の相手」に出会うことではない。
“理想の外側”にいる誰かと出会い、その人としか築けないふたりだけの現実を、ゼロから紡いでいくこと。
関係とは、出会った瞬間に完成するものではなく、未来に向かって育てつづける共同作業なのだ。


お見合い婚での婚活とは、その共同作業の糸口を探す旅。

どれだけ条件が合っても、どれほど強く惹かれ合っても、関係の本番はそのあとに始まる。

選び抜くことがすべてではない。

「理想の相手」の”理想”が本物なのかメッキなのかは、日常の光の中ではっきりする。


選び取ったあとに“私たち”を育てていけるかどうか──

その力と誠実さこそが、本当の意味での婚活の成功を決める。


婚活疲れに陥ってしまう人の多くは、「誰と出会うか」ばかりに焦点を当ててしまう。
けれど本当に大切なのは、「どんな関係を育てていきたいか」という問いに、静かに向き合うことだ。

お見合い婚とは、自分を取り繕い、選ばれることに心を砕く営みではない。


それは、「誰かと共に生きる現実」を選び取り、その現実に責任を持つ力を育てるプロセスだ。

そしてその先に──
“理想の結婚相手”という幻想が崩れ落ちたあとにだけ、
静かに訪れる“本物の愛”がある。



Ⅵ ✅あなたの「理想の結婚相手」執着度チェックリスト


以下の項目にいくつチェックが入るか、試してみてください。
□ 初対面で「この人、違うかも」とすぐに感じてしまう
□ 婚活相手のプロフィール条件がすべて合わないと納得できない
□ ときめきや運命的な何かがないと恋が始まらない気がする
□ 「もっと理想の結婚相手な人がいるはず」と常に思っている
□ 相手の欠点に気づいた瞬間、すぐに気持ちが冷めてしまう
□ 「この人に愛されたい」と思う気持ちのほうが強い


2つ以上チェックが入った方は、理想の結婚相手という「編集された幻想」に引き込まれている可能性があります。
あなた自身の「結婚相手の選び方」と「結婚の目的」を、そろそろ見つめ直してみませんか?



Ⅶ  💬 婚活Q&A──深い関係を築く“覚悟”ってどう育つの?




Q1. 覚悟って、自然に生まれるものですか?


A. いいえ。お見合い婚での覚悟は、小さな選択の積み重ねで“育てていく”ものです(それが自信になる)。


「違和感があっても、この人と話し合ってみよう」「少し気になるけど、それ以上に一緒にいて居心地がいい」──そんな日々の選択の中に、覚悟の芽は宿ります。婚活疲れしているときほど、その選択が曇りやすくなるので、焦らずに自分の感覚に耳を澄ませてみましょう。


Q2. 幻滅したとき、それでも一緒にいる価値って?


A. 自分の“愛する力”を育てる機会になります。


アドラーが語ったように、他者を変えようとするのではなく、共に変わっていけるかを問う。幻滅は、「理想の人」から「結婚相手として向き合う人」へと視点を転換するタイミングです。


Q3. 「この人と共に生きたい」と思える瞬間って?


A. それは、“沈黙が心地いい”と感じられたときかもしれません。


何も話さずとも、ただそこにいてくれる。そんな静けさの中に、安心と信頼が流れていると感じたとき、人は「共に生きる」未来を実感するのです。それは、お見合い婚の終着点ではなく、本当のスタートラインなのです。




【婚活メンター・ひろ】




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