婚活心理学
新着情報
婚活で"気持ちが伝わらない”男たちへ|婚活心理学Vol.18──感じる力を取り戻すレッスン
はじめに|なぜ今、「気持ちが伝わらない」問題に向き合うのか
婚活の現場で、「気持ちが伝わらない」と悩む男性が増えている。
感情表現が苦手なままでは、どんなに誠実でも関係は育たない。
本論考では、語る力・感じ合う力を取り戻すためのレッスンを提案する。
婚活の現場で、女性たちからよく聞かれる言葉がある。
「彼は優しいんです。でも、何を考えているのか、どう感じているのか、分からなくて……。」
一方で、男性たちからは、こんな声が届く。
「ちゃんと話しているつもりだった。何がいけなかったのか分からない。」
両者のあいだには、埋めがたい感覚のズレが存在している。
それは単なる話し下手、あるいは愛情不足といった表面的な問題ではない。
もっと根本的に──
感情を認識し、言葉にして、他者と共有する力そのものが育たないまま大人になってしまった、という構造的な問題が横たわっている。
多くの男性たちは、幼い頃から「感情を抑えろ」「合理的にふるまえ」と教えられてきた。
その結果、自らの感情に気づき、言葉にする練習をする機会を失い、「語れなさ」を抱えたまま、パートナーシップの場に立たされることになる。
こうした現象を単なる「会話力不足」と片付けるのは、あまりに浅い。
この論考では、男性たちが「感情を語れなくなった」背景に迫り、どうすれば「語る力」を取り戻せるかを、婚活現場のリアルな声と心理学の知見をもとに探っていく。
参考にするのが、映画『アバウト・タイム』である。
この物語の主人公ティムも、まさに「気持ちをうまく伝えられない」青年だった。
タイムトラベラーという特殊な能力を手に入れた彼は、何度も過去をやり直し(エクササイズのように)、完璧な言葉を選ぼうと必死になる。
しかし、何度もやり直した果てに、彼が学んだのは──
完璧なセリフではなく、不器用でも本音を差し出す勇気こそが、人と心をつなぐということだった。
たとえば、初めて恋人メアリーと出会ったとき。
うまく話そうとして失敗し続けたティムは、最終的に「正しい言葉」ではなく、彼女に対する素直な感情表現によって、関係を築いていく。
そして、物語の終盤では、父との永遠の別れに際して、もう時間を巻き戻すことなく、ありのままの感情を引き受け、静かに寄り添うことを選ぶ。
──「言葉にできないものを、感じ合う」という、本質的な愛の形へと至るのである。
婚活サポートで大切なのは、完璧な会話テクニックを教えることではない。
感情表現を意識し、言葉に乗せ、そして言葉を超えてつながるための回路を再びひらくことである。
焦らず、恐れず、あなた自身の声を、あなた自身の言葉で、世界に手渡すために。
本当の関係を築くための、新しいスタートラインへ。
第1章|婚活における「気持ちが伝わらない」問題とは?
婚活現場において、女性側から最も多く寄せられる不満のひとつが、「会話はできているのに、気持ちが伝わってこない」というものだ。
彼らは話していないわけではない。
食事の店を決め、次回の予定を調整し、話題を振る努力もしている。
しかし、その会話には、感情の手触りが伴わない。
一方、男性側にも言い分がある。
「ちゃんと会話は続いていた」「特に問題はなかった」と彼らは言う。
だが、その認識こそが、すれ違いの始まりである。
女性が求めているのは、「情報交換」ではない。
共にその場を感じ合い、互いの内面にアクセスできるような、感情のキャッチボールである。
なぜ、ここまで食い違ってしまうのか。
問題の根底には、感情を意識的に認識し、それを適切な形で相手に手渡すスキルの不足がある。
多くの男性は、幼いころから「感情は抑えるもの」「問題は自分で解決するもの」と教えられてきた。
その結果、自らの心の動きを意識的に言葉にする回路を十分に育てる機会を持たなかった。
「楽しかったです」と答える。
しかし、その「楽しかった」は、相手が笑っていたから、場が盛り上がっていたから、という外的な指標によるものであり、自らの内側で生まれた感情の輪郭を掴んで語ったものではない。
この内側の曖昧さが、会話の質ににじみ出てしまう。
映画『アバウト・タイム』の主人公ティムも、最初は同じ壁にぶつかっていた。
彼は、時間を巻き戻す能力を使って「より良い会話」を試みるが、うまく言葉を選んだはずの場面ほど、なぜか相手との距離が埋まらない。
完璧なフレーズを並べることが、関係を深めるわけではない。
本当に求められているのは、不器用でも、いまこの瞬間の自分の感情を、相手に向かって差し出すことだったのだ。
まとめると──
会話が弾まない原因は、話題の少なさでも、話術の拙さでもない。
自分自身の感情を捉え、それを相手に届けること、正に感情表現への不慣れにある。
婚活においては、情報のやり取り以上に、感情表現のやり取りが求められる。
そのためにはまず、自らの内面に意識的に目を向けることが必要だ。
「うまく話す」のではなく、「感じたことを、相手に渡していく」。
ここから、真の関係構築がはじまるのである。
第2章|なぜ婚活男性は感情表現が苦手なのか?
お見合い婚活の現場では、感情を言葉にできない男性たちが少なくない。
「どう思った?」「どう感じた?」と尋ねられても、
「特にない」「別に問題なかった」と返すだけ。
しかし、実際には何も感じていないわけではない。
ただ、自分の内側に生まれた感情を、意識的に捉え、言葉に変換する回路が十分に育っていないのである。
この「語れなさ」は、個人の性格や努力不足では片付けられない。
もっと深い、社会的・文化的な構造に根ざしている。
男性たちは成長の過程で、「泣くな」「感情を押し殺せ」「冷静にふるまえ」という無数のメッセージを浴びせられてきた。
感情を表に出すことは、未熟、軟弱、頼りない──
そう教えられてきた世代にとって、感情を言葉にすることは、無意識のうちに「してはならないこと」になっている。
その結果、彼らは次第に、自分が何を感じているのかを正確に掴めないまま対人関係に臨むことになる。
感情は存在する。
だが、それを認識し、言葉に乗せて他者に伝える訓練を、受ける機会がなかったのだ。
この構造を理解せずして、「もっとちゃんと話してほしい」と要求しても、男性たちはますます沈黙を深めるだけである。
問題は、彼らに「話す意志」がないわけではない。
話すための感情の回路が、未発達なまま放置されていることにある。
映画『アバウト・タイム』のティムもまた、自分の気持ちをうまく言葉にできず、何度も失敗を重ねた。
彼は時間を巻き戻し、会話のタイミングや内容を何度もやり直す。
けれども、いくら「うまい言葉」を選んでも、自分の本当の気持ちにアクセスできなければ、相手には何も伝わらない。
ティムが最終的に学んだのは、言葉とは、感情を認識したあとに自然と生まれるものだという事実だった。
まとめると──
婚活において男性が感情を語れない問題は、個人の失敗ではない。
社会化の過程で育まれた「感情表現の不足」という構造の産物である。
そして、この構造は、努力と意識的な練習によって、確実に乗り越えることができる。
まずは、自分の内側に何が生まれているかに、静かに耳を澄ますこと。
それが、「語る力」を取り戻すための最初の一歩になる。
第3章|婚活における本当の会話──「気持ちでつながる」とは何か
カウンセリングの場で、ある男性がこんなふうに戸惑いながら言った。
「気持ちでつながるって、どういうことなんでしょうか。正直、いまいちピンときていなくて。」
彼はまじめだった。
マナーも良く、デートの場でも沈黙を避けようと努力していた。
だが、交際相手の女性からは、「楽しかったけど、心が通った感じがしなかった」と告げられ、理由もわからないまま、関係は終わってしまった。
この「わからなさ」こそ、現代の婚活現場で多くの男性たちが無意識に抱えている深い課題である。
彼らにとって「会話」とは、必要な情報を交換し、場をスムーズに進めるための手段だった。
感情とは、個人的に処理すべきものであり、わざわざ共有するものとは教わってこなかった。
一方、女性たちが求めているのは、単なる情報のやりとりではない。
感情の交換である。
ただ予定を決めるだけでも、次に会う約束をするだけでもだめなのだ。
「楽しかった」「うれしかった」「少し緊張していた」──そんな小さな心の動きを、言葉に乗せて相手に届けること。
それによって初めて、「この人と私は、同じ時間を生きている」という実感が生まれる。
なぜ、男性たちはそこに戸惑うのか。
背景には、成長過程で内面化したメッセージがある。
「感情は抑えろ」
「問題は自分で解決しろ」
「弱さを見せるとイジメられる」
──これらの規範とブレーキが、心のどこかに深く刷り込まれている。
感情を言葉に乗せる感情表現に対して、恥ずかしさ、幼稚さ、無力感のような微かな抵抗を感じる。
無意識のうちに、感情を「語るに値しないもの」として、自ら封じ込めてしまうのだ。
そのため、いざ女性に「何を感じたの?」と問われたとき、答えが見つからず、沈黙してしまう。
そして、その沈黙は、気持ちが伝わらないだけでなく、相手には「無関心」や「温度差」として受け取られてしまう。
複数交際が当たり前のお見合い婚活では、致命傷だ。
映画『アバウト・タイム』でも、主人公ティムは、最初、感情をうまく言葉にできずに何度も失敗する。
彼は時間を巻き戻す能力を使い、「もっと上手に」「もっとスマートに」話そうと努力する。
しかし、何度やり直しても、本当に相手と心が通ったと感じられる瞬間は、完璧な言葉を並べたときではなかった。
むしろ、ぎこちなく、不器用でも、その瞬間に感じた感情を素直に手渡したときだけ、ふたりの間にようやく一息つける穏やかな橋が架かった。
大事なのは、「うまく伝える」ことではない。
「いま、ここで感じた気持ちを、恐れずに差し出す」こと。
それが、愛や信頼の出発点だった。
まとめると──
婚活で「気持ちでつながる」とは、完璧な台詞を用意することではない。
正解を探すことでもない。
自分の内側に芽生えた、小さな感情の種を、言葉にして差し出すこと。
その感情表現は時に、ぎこちなく、不完全で、頼りないものに見えるかもしれない。
けれど、相手はその不器用さの中にこそ、あなた自身の気持ちの純度と、存在の温もりを感じ取る。
婚活での交際は、情報を交換するのが目的ではない。
感情を渡し合う。
そこにこそ、ふたりだけの関係が芽生えはじめる。
第4章|婚活で求められる感情共有力──言葉だけでは伝わらない
婚活の現場では、「もっと気持ちを言葉で伝えて」と求められる男性たちがいる。
だが、その要請に応えようとすればするほど、会話はぎこちなくなり、むしろ女性との距離を広げてしまうことが少なくない。
なぜ、言葉を重ねても、気持ちが伝わらないのか。
多くの男性は、「気持ちを伝えなきゃ」と焦った瞬間に、頭の中で「正解の言葉」を必死に探しはじめる。
すると、感情表現そのものではなく、「どう言えば正解か」「どう受け取られるか」という自意識ばかりが肥大してしまう。
結果、伝わるはずのものも、空回りした言葉に変わってしまう。
これは、現代のコミュニケーション環境にも一因がある。
SNSやチャット文化の中で、聴覚レベルでの言葉が圧倒的な比重を持つようになり、「言葉でうまく表現できなければ、感情も存在しないかのように扱われる」
──そんな感覚が広がっている。
だが、感情とは、必ずしも言葉にしきれるものではない。
とくに恋愛や親密な関係においては、言葉にならない微細な感覚や、共に過ごした時間そのものが、「つながり」をかたちづくるのだ。
映画『アバウト・タイム』でも、ティムは最終的に、完璧なセリフを探すことをやめ、「一緒に体験する」ことに重心を置くようになる。
たとえば、父との辛い別れを前に、彼は過去をやり直すことをあきらめ、ただ静かに、父と散歩をする。
言葉は少ない。
だが、そこには、何にも代えがたい愛情と理解が宿っていた。
恋人メアリーとの関係も同じだった。
最初はぎこちなく、気の利いた言葉もなかったが、一緒に食事をし、冗談を交わし、ささやかな体験を重ねるなかで、ふたりの間にしか流れない特別な空気が育っていった。
まとめると──
婚活において、気持ちを伝える努力は大切だ。
だが、それを「言葉」だけに頼りすぎると、逆に本来伝わるべき感情の手触りを失ってしまう。
言葉で完璧に説明しなくてもいい。
むしろ、一緒に笑った体験、同じ景色を見た記憶、何気ない沈黙を共有した時間──そうした「感情の共体験」が、ふたりのあいだに目に見えない絆を育てていく。
言葉はその上に、そっと添えられるものであればいい。
感情は、まず「体験」として共有され、そのあとに、必要なぶんだけ言葉になる。
それが、婚活の場で「気持ちが伝わらない」不満を乗り超え、感情表現を意識するようになる道だし、言葉だけでは届かない「本当のつながり」の始まりである。
第5章|婚活における感情の再発見──語ることは救いになる
婚活の現場で、「気持ちが伝わらない」という理由だけで、交際終了を告げられる男性たちは少なくない。
彼らはまじめで、至って誠実だ。
デートの段取りも欠かさないし、LINEの返信も怠らない。
だが、交際相手の女性からはこう告げられる。
「あなたの気持ちが分からなかった」
「心が通った感じがしなかった」
繰り返すが、なぜ、こうしたすれ違いが起こるのか。
男性たちは、単に「話し下手」なのではない。
彼らはもっと深い心理的な罠に捕まっている。
それは──
✅「正しい言葉を探さなければならない」という強迫観念
✅「読み間違えたら取り返しがつかない」という失敗恐怖
✅「弱味を見せたら価値を失う」という無意識の防衛
この三つが絡み合い、語ることそのものを萎縮させてしまっているのだ。
たとえば、デートのあとに「どうだった?」と聞かれたとき。
彼らはすぐ、「相手が楽しそうだったから良かった」「問題はなかった」と答える。
だが、ここにすでに罠がある。
彼らは無意識のうちに、「相手のリアクション」だけを見て自分の気持ちを推し量ろうとしている。
自分がどう感じたのか、その内側を探り、語ることができない。
なぜなら、感情を言葉にしようとした瞬間、「こんなこと言ったら引かれるんじゃないか」
「ちゃんと伝えられなかったら格好悪い。」
──そんな恐れが脳内を支配してしまうからだ。
こうして、自分の心に触れる前に、自己検閲が走る。
その結果、表層だけをなぞった言葉しか出てこない。
そして女性たちは、「気持ちを伝え合うのは無理かもしれない。彼の感情がわからないし、見えない」と感じるのである。
では、どうすればこの罠から抜け出せるのか。
重要なのは、「うまく言う」ことを目標にするのをやめることだ。
感情を語るというのは、最初から完成した美しい言葉を差し出すことではない。
むしろ──
✅ いま、ここで感じていることに
✅ たどたどしくでもいいから、耳を澄ます
✅ その断片を、言葉にして、そのまま差し出してみる
この三つのプロセスを、少しずつ体験していくことだ。
たとえば、
「緊張してうまく話せないけど、あなたといると少し安心できた気がする」
──こんな言葉でいい。
洗練されていなくてもいい。正確でなくてもいい。
むしろ、生々しい手ざわりのある言葉ほど、相手には真実の感情に届く。
映画『アバウト・タイム』のティムも、最初は同じ罠に苦しんでいた。
完璧なタイミングで、完璧な台詞を言おうと必死になった。
だが、やり直しを繰り返すなかで彼が学んだのは、「正解の言葉」ではなく、自分の中に今、芽生えている不完全な感情を、恐れずに手渡すことだった。
ティムが不器用に愛を告げたとき、そこには、ただの台詞ではない「生きた関係」が生まれた。
まとめると──
沈黙という罠に捕まる男性たちは、「失敗してはいけない」「完璧に伝えなければならない」という無意識の思い込みに縛られている。
だが、婚活で本当に求められているのは、完璧な言葉ではない。
自分の感情を感じ、それを、いまこの瞬間に生きて差し出す勇気だ。
そのとき初めて、言葉の橋が掛かる(ラポール)ことになる。
沈黙に隠れていた自分自身と、向き合っている相手とを、つなぐ橋に。
怖くてもいい。不器用でもいい。
まずは、小さな言葉から、あなた自身を世界に差し出してみよう。
そこから、感情表現を交わし合う関係は静かに育ち始める。
第6章|婚活で体験を伝え合う関係を育てるために──体験を共有する
これまで見てきたように、感情表現を意識し、語ることは、婚活において非常に重要な力である。
しかし、もうひとつ──言葉を超えた領域でふたりがつながる体験もまた、関係性を育てるために欠かせないものだ。
現代の婚活現場では、「会話力」や「トークセンス」が重視されがちである。
婚活カウンセラーを名乗る相談員たちもそれを勧めるし、「話し方セミナー」に勧誘したりする。
そのため、多くの男性が「話して盛り上げなければ」と思い込み、ひたすら話題を探し、面白いことを言おうと焦る。
だが、この焦りこそが、かえって本来の「感じ合う力」を蝕んでしまう。
会話はあくまで手段であって、ふたりが「同じ時間」をどう感じ、共有するかこそが、本質なのだ。
たとえば──沈黙のなかでふと微笑み合うこと。
同じ景色を見ながら、何気ない感動を分かち合うこと。
一緒に何かを作ったり、困難な場面を乗り越えたりすること。
言葉にならない感情の波に乗って、共にくぐる体験。
そこにこそ、「ふたりでいる意味」が生まれる。
映画『アバウト・タイム』においても、主人公ティムは、言葉を超えたつながりの力を学んでいく。
恋人メアリーとの関係を深めたのは、完璧な会話でも、機転の利いたジョークでもなかった。
むしろ、ぎこちない沈黙の共有、ささいな日常の体験──
映画を観に行き、つまらないギャグに一緒に笑い、ふたりでコーヒーを飲みながら、ただ静かに時を過ごすこと。
また、父親との最後の時間を巻き戻すことをあきらめたティムは、ただ父と散歩をする。
多くを語らない。ただ、並んで歩くだけ。
そこには、言葉以上に濃密な愛情と、理解に満ちた時間が流れていた。
ここから導き出せる教訓は明確だ。
✅ うまく話すことではなく、
✅ 一緒に何かを感じること。
これが、言葉では届かない「本当のつながり」を育てる鍵である。
まとめると──
婚活において、言葉によるコミュニケーションは重要だ。
しかし、言葉だけに頼りすぎると、かえって本質から遠ざかる。
ふたりが一緒に何かを感じ、共通の時間と感情の記憶を重ねていくこと。
それがあって初めて、言葉もまた、自然に重みを持ち始める。
「楽しかったね」
「緊張したけど、君と一緒なら平気だった」
──そんな不完全な言葉でさえ、体験が共有されていれば、温かく、確かなものになる。
言葉を超えた共鳴。
そこに、本物の親密さの種がある。
そしてそれは、無理に頑張ることなく、ただ、ふたりで同じ時間を生きることで、自然に育っていく。
おわりに|婚活で「感情表現」を取り戻すために
まとめ:
婚活で「気持ちが伝わらない」と言われる男性たちは、別に怠けているわけではない。
むしろ、多くの場合、彼らは真面目で、誠実だ。
誰よりも「ちゃんとやろう」と努力している。
それでも、結果は同じになる。
「何を考えているか分からない」
「一緒にいても心が動かなかった」
「つまらなかった」「退屈だった」
──そう言われて、戸惑い、立ち尽くしてしまう。
「気持ちが伝わらないのがそんなに罪なのか?」
問題は、スキルではない。
彼らが抱えているのは、もっと根深いものだ。
育ってきた環境で、感情表現を意識する習慣も、それを言葉にする回路も、誰からも与えられなかった。
気づいたときには、「感じていないふり」をするのが普通になっていた。
だが、恋愛や婚活という場では、「感じたものを言葉にして渡す」という行為が、関係を育てる唯一の方法になる。
ここに、巨大なギャップが生まれる。
完璧な言葉を用意できなければ、気の利いたことが言えなければ、関心を惹かない──
そんな恐れが、彼らを無言の檻に閉じ込める。
そして、黙ったまま、また誰かを失う。
この繰り返しのなかで、「どうせ伝わらない」「何を言っても無駄だ」という諦めが、じわじわと心を蝕んでいく。
砂を噛むような味気なさ。
でも、それは真実じゃない。
本当に必要なのは、上手に話すことではない。
完璧に気持ちをまとめ、感情表現することでもない。
必要なのは、たとえ不器用でも、たとえ怖くても、いまこの瞬間に自分が感じていることを、諦めずに見つめ直すことだ。
そして、それを小さな言葉にして渡すことだ。
たとえば──
「正直、緊張してうまく話せないけど、君と一緒にいると少し安心できる気がする」
これだけでいい。
たったこれだけで、沈黙だった空気に、ふたりをつなぐ細い橋がかかりはじめる。
映画『アバウト・タイム』のティムも、何度もやり直し、何度も失敗した。
でも最後に彼がたどり着いたのは、「うまくやる」ことではなかった。
「感じることをやり直す」ことだった。
失敗を恐れず、うまく言えなくても、いまここに生きている感情を、大切にし直すことだった。
だからこそ、父との最期の散歩には、言葉を超えた親子の情愛の深さが感じられ、観客は涙した。
婚活は、ただパートナーを探す場ではない。
未完了な感じることそのものを、やり直す場所でもある。
一度、閉ざしてしまった感情表現の扉を、もう一度、少しだけ開き直すこと。
それができたとき、あなたは「誰かと共に生きる」という真実の意味に触れるだろう。
だからって焦らなくていい。うまく話せなくてもいい。
ただ──感じることを、その意図を、手放さないでほしい。
些細な感情表現でもいい。
気持ちを、言葉にして、差し出してみてほしい。
きっと、そこから、あなたとお相手との物語を紡ぐ、特別な日々が始まる。
(婚活メンター・ひろ)
婚活で、なぜか距離が縮まらない。
うまく話せない。話そうとしても、言葉にできない──
そんなもどかしさを抱えている男性は少なくありません。
そして実際、より会話力に優れた女性たちは、その微妙なズレを敏感に感じ取ります。
「何を考えているのかわからなかった」
「一緒にいても心が動かなかった」
──そうして交際終了を告げられるケースは、決して珍しくないのです。
でも本当は、あなたの誠実さまで否定されたわけではありません。
必要なのは、「ただ感じたことを自然に伝える力」を取り戻すことです。
私たちの【婚活メンタリングセッション】では、
言葉だけでなく、感情そのものと向き合うサポートを行っています。
まずは無料体験相談から、あなた自身の可能性を確かめてみませんか?